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虎屋を出たぼくは、ゆっくりと駐輪場へと向かう。
SCOTTに掛けた、3つのワイヤーキーを外して
東京ミッドタウンの駐輪場を出た、ぼくは
外苑東通りを、今度は信濃町のほうに向けて走り出す。
藤香からのメールは、まだ届かない。
まぁ、焦ることもないか……。
のんびりとSCOTTを走らせながら
ぼくはまた、あの頃の藤香のことを思い出していた。
ぼくと藤香、妹の葵の三人で
夏の日、良く実家近くの川で遊んだっけ。
その川は、幅が数メートルの小さな川で
川の両端は、コンクリートでしっかりと固められていた。
水は決してキレイではないし、冷たくもないが
川底の砂が、サラサラとサンダルと足の間に流れて、気持ち良かった。
海に近い、ぼくの家のそばから
山のほうへ向かって、川の中を歩いてかなりの距離を歩けた。
「お兄ちゃん、探検に行こう!」
そんな風に、葵が言うと
嬉しそうに、藤香も付いて来た。
深くても20センチほどの川の水を
ジャバジャバ言わせながら、のんびりと上流に向かって三人で歩く。
葵が、藤香の手を握って
藤香は恥ずかしそうに、ぼくの手を握った。
陽の光にキラキラと光る川面を見ながら
ぼくは、しっかりと藤香の手を握ったんだ。