14


虎屋を出たぼくは、ゆっくりと駐輪場へと向かう。


SCOTTに掛けた、3つのワイヤーキーを外して

東京ミッドタウンの駐輪場を出た、ぼくは

外苑東通りを、今度は信濃町のほうに向けて走り出す。


藤香からのメールは、まだ届かない。

まぁ、焦ることもないか……。


のんびりとSCOTTを走らせながら

ぼくはまた、あの頃の藤香のことを思い出していた。



ぼくと藤香、妹の葵の三人で

夏の日、良く実家近くの川で遊んだっけ。


その川は、幅が数メートルの小さな川で

川の両端は、コンクリートでしっかりと固められていた。


水は決してキレイではないし、冷たくもないが

川底の砂が、サラサラとサンダルと足の間に流れて、気持ち良かった。


海に近い、ぼくの家のそばから

山のほうへ向かって、川の中を歩いてかなりの距離を歩けた。


「お兄ちゃん、探検に行こう!」

そんな風に、葵が言うと

嬉しそうに、藤香も付いて来た。


深くても20センチほどの川の水を

ジャバジャバ言わせながら、のんびりと上流に向かって三人で歩く。


葵が、藤香の手を握って

藤香は恥ずかしそうに、ぼくの手を握った。


陽の光にキラキラと光る川面を見ながら

ぼくは、しっかりと藤香の手を握ったんだ。