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藤香……。
ぼくの胸に、甘酸っぱい思いが湧き上がって来た。
あの頃の藤香は、本当に可愛かった。
今の藤香は、どんな風に成長しているんだろう……。
ぼくは、そんなことを考えながら
急いで手紙の続きに目を移す。
……久しぶりに、お兄ちゃんに逢いたいな。
今度の日曜日に、東京ミッドタウンの入口で午後2時に待っています。
川崎 藤香
へっ?
これだけ、か……。
随分と、あっさりとした手紙だな……。
まぁ、いいか!
ぼくは、藤香の手紙に何度も目を通しながら。
あの頃のことを思い出していた。
「お兄ちゃん! おはよ!早く起きないと遅刻しちゃうよ!」
ぼくの部屋のドアを叩きながら
藤香が、声を掛ける。
朝が弱いぼくを起こすのは
いつの間にか、藤香の役目になっていた。
「うーん……あと5分だけ……」
「もう! しょうがないなぁ、お兄ちゃんは……」
…………
「もぅ! お部屋入っちゃうよ! いいの?」
「わ、分かったよ……ちゃんと起きたからさっ!」
そんな風に毎朝、藤香は
ぼくを起こしてくれたっけ……。
部屋を、のそのそと出て行くぼくに
いつも藤香は、笑いながら言ってくれたんだ。
「おはよ! お兄ちゃん」って