東京ミッドタウンの入り口で

そんなことを考えながら、ぼくは藤香を待つ。


しかし、遅いな……。


ぼくは、あの頃の藤香を思い出しながら

手のひらで、パタパタと自分の顔に風を送る。


ぼくは、まだ来ない藤香の到着を

ワクワクしながら待っていた。



初めて逢ったとき

藤香は、恥ずかしそうにお母さんの後ろに隠れながら

それでも、ぼくの顔をじっと見ていたっけ。


「藤香! お兄ちゃんに、ちゃんとご挨拶しなさい! お世話になるんだから、ね……」



藤香のお母さんが言った、そんな言葉を

ぼくは、今でもハッキリと覚えている。


藤香のお母さんは、すごくキレイな人だった。

そんなキレイな人が、少し悲しそうな表情で

藤香に、そんな言葉を掛けたんだ……。


「……お兄ちゃん、初めまして……川崎藤香と言います。よろしく……お願い、します……」



藤香の、そんな弱々しい言葉に

ぼくは、困ったような嬉しいような

そんな、ちょっと不思議な気持ちになったんだ……。


藤香に、ずっと逢いたかった。

でも、ぼくにはその理由がなかった。


何かのキッカケでも無い限りは

ぼくは、藤香に逢ってはいけないような気がしていた。


なぜだかは分からないが、ずっと……。



……そのとき、突然

ぼくのケータイに、メールが届いた。


あれっ?

一体、誰だろう……。


見慣れないメールアドレスのメールを開く。


それは、藤香からのメールだった。