ぼくの実家では、祖父と両親、妹の葵とぼく

そして父の妹、つまりぼくの叔母さんの計6人が

一つ屋根の下で暮らしていた。


藤香のお母さんは、叔母さんの大親友らしくて

詳しいことは、ぼくには知らされなかったけれど

いつの間にか、藤香と藤香のお母さんは

当分の間、ウチでぼくたち家族と一緒に暮らすことになっていた。


そのとき藤香は、まだ12歳で

口数は少ないが、笑顔の可愛い女の子だった。


藤香が現れた、15歳の春。

そして、それから約一年の間

ぼくは、藤香とワクワクするような毎日を過ごした。


藤香は、藤香の2歳年下の葵とすぐに仲良くなって

まるで、ぼくの本当の妹のように

素直に、ぼくに懐いてくれた。


きっと、ぼくは

あの頃、藤香のことが好きだったんだと思う。


もちろん、高校生のぼくにとって

藤香は、妹みたいなものだった。


いや、厳密に言えば

もちろん、妹とは違うけど……。


あの頃の、ぼくは

藤香に対して、たぶん恋愛感情なんてなかったんだと思う。


いや恋愛感情というよりも、それは

本当の妹のように、守りたくなるというか……。


でもそれは、妹とは明らかに違う

そんな複雑な気持ち……。


それでも、きっとあの頃から藤香は

ずっと、ぼくにとってかけがえのない存在だった。


今でも忘れられないほどに、ずっと……。