『藤香とぼくと、一枚の写真』 Ameblo ver. 和泉 ヒロト
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2007年7月、東京。
真夏のような日差しが、ぼくのアタマの温度を更に上げる。
アチィー!
ジメジメした空気が、ぼくのカラダに纏わり付いて
体中から、ジワジワと汗を噴き出させていた。
六本木の街は、暑い。
というか、都心の街はどこも同じように暑いけど。
今日みたいに、薄いシャツと短パンといった格好でも
やっぱり、暑いものは暑いのだ。
ところで、ヒートアイランドっていうけど
クールアイランドっていう場所はないのかな……?
そこに行けば、涼しい街とか……
って、それは避暑地っていうのか……。
っていうか、やっぱアイランドなら島かな?
ぼくは、そんな超くだらないことを
ボーっとするアタマで考えていた。
くたびれたCASIO G-SHOCK DW-5600の液晶表示を見る。
14:07、か……。
外苑東通り沿いの、ミッドタウン入口にある
丸くて、真ん中にポッカリ穴の空いた大きな黒い石のオブジェの周りを
ぼくは、何度もグルグル廻りながら
藤香(ふじか)が来るのを、イライラしながら待っていた。
幼なじみの藤香と逢うのは、11年振りのことだった。
いや、幼なじみというのは
ちょっと、微妙に違う気もするけど……。
広島にある、ぼくの実家に藤香たちが転がりこんで来たのは
ぼくが高校に上がる年のことだった。
藤香と、藤香のお母さんのふたりは。
なぜか突然、ぼくたち家族の同居人になった。