31 『君の傘で、お茶しに行かない?』

カンカン照りの太陽が。

土から、容赦なく水分を奪っていく。


カラカラに干からびた土は。

ぼくの心に似ていた。


彼女を失ってからのぼくは。

そんな、カラカラの心で。

ただ過ぎ去る時間を過ごすだけの。

そんな毎日を送っていたんだ。


君と出逢ったのは。

そんなときだった。


ある日、偶然出逢った君は。

いつの間にか、ぼくの心に入り込んで来て。

ぼくの乾いた心に、砂ぼこりを立てた。


何なんだよ!

うぜぇヤツ!

ほっといてくれよ!


ぼくは。

そんな、冷たい言葉を。

君に、ぶつけてしまった。


本当は、そんなこと言いたくないのに……。


そして、ぼくの心は。

さらに、カラカラになる。


その日。

突然の雨で、ぼくは途方にくれていた。


折り畳み傘を持つのがキライな、ぼくは。

突然の雨が苦手なんだ。


「雨、止まないといいな……止まなければ、こうして一緒に居られるから……」

へっ?


隣を見ると、いつの間にか君が居て。

ちょっと寂しそうに、雨空を見上げていた。


そんな君を見たとき。

ぼくの心に、突然雨が降った。


ぼくは。

君を守りたい……。

そんな気持ちが、ぼくの心を満たしていく。


ぼくは、君の頭を撫でながら。

そして、優しく。

こう言ったんだ。


「大丈夫だよ。でもさ……」


『君の傘で、お茶しに行かない?』