21 『ぼくには、愛する人がいるんだから』

ぼくの肩越しに聞こえて来た、君の声が。

とても涼やかで、とても安らげたから。

ぼくは、振り向きざまに。

一瞬にして、君の気持ちを感じ取ることが出来たんだよね。


「ねぇ……わたし……すごくあなたが好きなの!」

君の突然の告白に、ぼくは。

ただ、苦笑いするしかなかったんだけど……。


ぼくが君に、確かな好意を持っていたとしても。

簡単に、君の気持ちを受け入れる訳にはいかないのさ。


もし、君が抱いて欲しいと迫って来ても。

ぼくは、きっと君を抱きはしないだろう。


だって。

ぼくには愛する人がいて。

残念ながら、それは君でないのだから。


ぼくは、微笑みながら。

君の好意をはぐらかす。


ごめんね。

だって、さ……。


『ぼくには、愛する人がいるんだから』