16 『もう一度、苦笑い』

君と逢うのは、半年ぶりだった。


雨の青山へと、俺は向かう。

俺のくせに、不思議と胸がドキドキしていた。


百戦錬磨の、ハズなのに……。

俺は、自分で自分を笑う。


待ち合わせ場所に向かう、地下道で。

きっちり、3回。

バイブの振動。

メール、か……。


俺は、悪い予感を押し殺しながら。

ゆっくりと、ケータイを開く。


Sub : ごめんなさい!(><;)

急に仕事が入ってしまって……。

本当に、ごめんなさい!


別の日にして貰ってもいい?

本当に、ごめんね……。



って、おいおい……。

やっぱり、そうか。

悪い予感ほど、当たるんだよな……。


俺は、少しだけ脱力しながら。

それでも、苦笑いしていた。


彼女の仕事のことを考えると。

まぁ、仕方ないんだけど、さ……。


俺は、彼女にメールをしながら考える。

今日逢えなくたって、別に焦ることなんてないんだ……。


彼女と待ち合わせた交差点まで。

ついつい、歩いて来てしまった俺は。

左手に傘を持って。

右手で、ケータイメールを打つ。



Re : ごめんなさい!(><;)


了解!

仕事頑張って!

いい結果が出ることを祈ってるよ。

また都合のいい時に連絡してくれ。

待ってるから。



そんなメールを送った、俺は思う。


こんなに俺が、君を好きになるなんて、な……。


俺は、君と逢うはずだった待ち合わせ場所で。

もう一度、苦笑いしていた。


『もう一度、苦笑い』