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沙樹子と行った、最初で最後の旅行は。

浜名湖への旅行だった。


ポルシェで、俺たちはのんびりと浜名湖へと向かった。


あの時、俺は。

栞への想いを断ち切って、沙樹子だけを愛そうとした。


しかし。

沙樹子は、俺の気持ちに気付いていたのだ。


浜名湖のキラキラ光る湖面を見ながら。

沙樹子は、俺の気持ちを確かめた。

そして……。


結局、あの日から。

俺と沙樹子は、ダメになってしまったのだと思う。


しかし。

今の俺は、あの頃の俺とは違うのだ。

沙樹子に、ちゃんと俺の愛を認めて貰うためにも。

俺は、沙樹子と楽しい旅をしたかったのだ。


「そうだね……じゃあ、北海道に行きたいな!うーん、函館!」

沙樹子は、そう言いながら楽しそうに笑った。


何で函館かはよく分からないが、俺も異義はない。


いろいろな街を取材で訪れた俺だが。

函館は、奥尻島の取材のときに通り過ぎたくらいだった。

一度は、ちゃんと訪れてみたい街だったし。


そして、11月のある金曜日。

俺と沙樹子は、函館へと向かった。


ANAのボーイング767のシートに。

沙樹子と並んで腰掛ける。

窓側に座って、ご機嫌な沙樹子の左手を取って。

俺は、優しく握った。