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「超強引だよね。相変わらず……」

そう言いながら、沙樹子は。
 
ひとつ、ため息をついた。


「ごめんな。でも、俺……」

「でも、何?」

「あぁ、うん。やっぱり、お前がいいんだ……」

沙樹子は、困ったように俺を見つめていた。


「厚かましいのは分かってるけど、俺……。もう一度、お前と始めたいんだ!」

「ねぇ、ひろ……わたしの気持ちは、確認しないの?」

そう言いながら、沙樹子は。

7年ぶりに、俺の唇に。

ゆっくりとキスをした。


「今度は、絶対に放さない。絶対に、大切にするから!」

俺は、沙樹子の瞳を見つめながら。

そのとき、そう誓ったのだ。


沙樹子と別れた俺は。

ゆっくりと東京に向けて、東名高速を走る。

小さいレンタカーでも、ドライブは気持ちが良い。


なんとか、俺は。

もう一度、沙樹子を取り戻すことが出来そうだ。


もし、沙樹子が誰かを想っていたとしても。

それ以上に、俺を好きにさせれば良いだけのことだ。


そんな強気なことを考えながら、俺は。

本当は、不安だった。


俺は、本当は。

麻里恵や愛美を忘れたいがために。

そのために、沙樹子に逢いに行ったのではないのか?と。