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「いらっしゃい。まぁ、こちらへ……」

微妙な表情をしたお父さんに、勧められるまま。

俺は、リビングに通された。


これって、かなりキツイ状況だよな……。

そう思いながらも、俺は。

そのとき、覚悟を決めていた。


「今日は、突然お邪魔してすいませんでした!」

ソファーに座った、俺は。

そう言いながら、向かいにいるお父さんとお母さんに頭を下げる。


「一度ちゃんと、ご挨拶をしなければと思ってました」

「あぁ……そうして貰うほうが安心だよ」と、お父さんは言った。


「はい……ぼくは、沙樹子さんと真面目にお付き合いしたいと思ってご挨拶に来ました!」


横に座っている沙樹子が。

びっくりしたように、俺を見ていた。


「よし、分かった!寿司でも取るか!」

お父さんは、そう言って。

初めてニッコリと笑った。


それから、俺は。

ずっとリビングに居て。

お父さんやお母さんと、いろいろな話をした。


沙樹子は、たぶん。

俺に呆れていたと思う。


いつの間にか時計の針は、午後9時を回っていた。

ご両親に挨拶して、沙樹子の家を出る。


「ちょっと話しようか?」

俺は、沙樹子の手を引いて。

レンタカーに乗り込んだ。