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「どこでもいいよ!どこにでも逢いに行くから!」

俺は、自分でそんなことを言いながら。

独り、苦笑いしていた。


考えてみれば、俺は。

いつも、自分の都合の良い場所に。

沙樹子を呼び出していたような気がする。


もちろん、俺だって。

沙樹子の勤める病院まで、良く逢いに行ったけど。

それは、それとして。

俺は、やはり沙樹子に甘えていたのだと思う。


だから、今度は。

俺から、沙樹子に逢いに行く。

俺は、そう決めていた。


「ふーん……。じゃあ、わたしの家のほうまで来てくれる?テニスやろうよ!」

「へっ?テニス?」

俺は、沙樹子の意外な提案に面食らっていた。

でも……。

「あぁ、やろうよ!テニス。元テニス部キャプテンは手強いぜ!」

俺が、そう言うと。

「あはっ!軟式のくせに!」と、沙樹子は笑った。


俺は、そのとき感じていたのだ。

絶対に沙樹子を、もう一度手に入れたい。

今度こそ、俺が沙樹子を幸せにする。

そのとき、俺は。

そう決めたのだ。


沙樹子に男がいるか?とか、そんなことは。

なぜか、不思議と気にならなかった。


次の日曜日。

俺は、レンタカーを借りて沙樹子に逢いに向かった。