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そんな、愛美の姿を見てしまった俺の胸は。

そのとき、激しく痛んだ。


俺は、また。

大切な女を、泣かせてしまった……。


結果的に、愛美と別れてしまうとしても。

今は、愛美を泣かせるタイミングではないはずだ。


俺は、反射的にROLEXを見た。

仕事までは、まだ少し時間がある……。


俺は、次の電車に飛び乗って。

愛美を追いかける。


東京駅で、電車を下りた俺は。

新幹線ホームを目指して走る。


愛美!

どこだ!


そのとき、俺は。

自分の感情に、正直戸惑っていた。


愛美との将来を否定したはずの俺は。

このタイミングが、チャンスだったはずだ。


そう。

愛美と、きれいに別れるためには。


しかし、俺は。

湧き上がって来る、熱い感情に。

自分でも驚いていた。

そして、俺は気づいたのだ。


俺は、やはり。

愛美を愛している。

愛美が乗る新幹線の時間は、なんとなく聞いていた。

しかし、何号車に乗るとか。

そこまでのことを、俺は知らなかった。

新幹線ホームを、俺は。

愛美を捜して走る。


いない……。

俺は、愛美の携帯に電話をかける。


呼び出し音が鳴るだけで、愛美は出ない。

会社に向かわなくてはならない時間が、迫っていた。