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愛美と俺は、梅田近くの喫茶店にいた。

小さなテーブルをはさんで、向かい合って座る。


正面から見る愛美は。

やはり、とても可愛い。


俺は、今日。

東京に戻らなければならない。


ROLEXの針は、午後4時を回っていた。

俺は、明るく笑う愛美を見つめた。


この子は、いい子だな……。

そう思えば、思うこそ。

俺は、これ以上愛美と親密にならないほうが良い気がしていた。


好きになれば、なるほど。

東京と大阪の距離は壁になるのだ。


そして。

どうせ俺は、愛美を幸せになんて出来ないのだから……。


俺の視線に気づいた愛美が、恥ずかしそうに笑う。

そして、ゆっくりと口を開いた。

「ねぇ……ひろさん、今日帰るんやろ?まだ時間ある?」

「あぁ。今日中に帰れればいいけど……」

「そうなんや……。じゃあ……わたしの部屋に来ない?」


えっ?

俺は、愛美の予想外の言葉に。

少しだけ動揺していた。


愛美は、何を考えているのだろう……。

でも。

まぁ、いいか……。

まだ時間はあるし。


俺は、愛美の生活を覗いてみたい気もしていた。


愛美の部屋は、梅田から電車で15分ほどの駅の近くにあった。