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今の俺は。

ちゃんと女と向き合うことなんて、出来なかった。


だから。

ミキや愛美が、いい子であればあるほど。

俺はイザとなると、一線を引いてしまう。

それに、ここは大阪なのだ。

俺が、東京にいる以上。

大阪の女とは、遠距離恋愛になる。


いくらバカな俺でも。

さすがに、また同じ間違いをするつもりはなかった。


しかし。

それでも、俺は葛藤していたのだ。


今の俺を、愛してくれるならば。

この一瞬だけでも、俺は。

ミキのことを愛してしまっても、良いのではないだろうか?

いや、しかし……。


俺は、葛藤する。


いま、ミキは。

俺の腕の中にいて。

俺の胸に甘えていた。


「俺は、たぶん……君のものにはならないと思うよ……」

俺は、にっこりと笑いながら。

ミキに酷いことを言う。


もし、ミキがそれで醒めてくれれば。

それは、それで良いのだから。


ミキは俺の目を見つめて、こう言った。
「素直じゃないな、ひろさんは……」


にっこりと笑い返したミキは。

俺の唇に、ゆっくりとキスをした。

俺は、ミキをギュッと抱き締めながら。

ミキの柔らかい耳たぶを、優しく噛んだ。