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店に入って、席に戻る。

そのとき。

ミキが俺を、チラッと見た。


俺は、ミキのそばに立ち止まる。

「ねぇ、愛美からでしょ?電話」

ミキは、標準語でそう俺に訊く。


「さあね……」と、俺はトボケながら。

ミキの隣に座る。


「もう、こんな時間だけど……帰らなくても大丈夫なの?」

俺は、ミキにちょっと冷たい声でそう言った。


ミキは、にっこり笑いながら。

「大丈夫だよ、気にしないで」と言う。


俺は、三角公園の近くにあるホテルに泊まっていた。

そこは、ホテルに間違いはないのだが。

ウィークリーマンションのように、キッチンもあって。

普通のマンションのように、ひとの出入りは自由だった。


もちろん、一泊から出来るし。

宿泊料も、一万円もしない安さだった。


この店からは、歩いて行けるし。

明日は、昼から愛美に逢うだけだから。

まだ俺には、時間がある。


「ねぇ、ひろさんはどこに泊まってるの?」

ミキが、俺の耳元で囁く。

「この近くさ……。ちょっと面白い所だよ」と、俺もミキの耳元で囁く。


「ふーん……見てみたいな」とミキは。

俺の目をじっと見つめて、そう言った。