34


そう言えば、麻里恵と出逢ったときも。


こんな会話をしたっけな……。


俺は、チクチクする胸の痛みを感じていた。



でも、もう。


そんなことを言っても、何の意味もないが。



「愛美です。美しく愛する……で、あみ」


「……ふーん」と、俺がボケると。


「それだけかいっ!」と、愛美がツッコんだ。



「さすがだなっ!それを待ってたんだ」


俺は、愛美の絶妙なツッコミに。


一気にテンションが上がっていた。



「面白いね、お兄さん!」


愛美も、そう言ってニッコリと笑った。


愛美って、24歳くらいかな?


実際の歳よりは、若く見えるんだろうな……。



しかし。


この子の笑顔って、凶器だよな……。



俺は、そのとき。


愛美の笑顔に、間違いなく心を奪われていた。



俺は、ずっと。


麻里恵の笑顔を、見ていなかった気がする。



あの、広島の件以来。


麻里恵は、俺に笑顔を見せてはくれなかったのだ。



考えてみれば、俺は。


最初に、麻里恵の笑顔に惹かれたのに……。



俺は、きっと。


女の笑顔に弱いんだな……。



そんなことを考えながら俺は、愛美といろいろな話をした。



何回か、席替えをしても。


なぜか愛美は、俺のそばにいてくれた。


それは、たぶん……。