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2月になって。


俺は、新しい部屋を探し始めた。



3月には、会社がお台場に引っ越す。


それを考えても、もう新宿にいる必要は無かった。



俺は、大井町や青物横丁に部屋を探し始めた。



麻里恵とは、もう。


連絡も取っていない。



俺は、昔のように夜遊びを始めるでもなく。


ホームページ作りや、ネットサーフィンをして。


独りで、夜を過ごしていた。



そんな、ある日の夕方。


たまたま、家に居た俺に。


麻里恵から、電話が掛かって来た。



「……もしもし。ゴメンね。実は、お願いがあって……」


麻里恵は、事務的に用件を伝えた。



麻里恵は、押し入れの中に。


撮影に必要な、特殊メイクの道具を忘れて行ったという。



俺は30分後に、それを麻里恵に渡すことを約束した。



俺は、麻里恵を恨んではいない。


仕事で急を要する事情も分かる。


だから。


麻里恵に逢って、それを渡すことを承諾したのだ。



だけど。


本当は、俺は。


麻里恵に逢いたくなんて、なかった。



麻里恵を恨みたくはない。


しかし。


俺は、結局。


麻里恵に、問答無用で棄てられたのだ。


そう思うと。


やはり、麻里恵のことを許せない俺がいた。