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麻里恵の携帯に、何度電話しても。


やはり、麻里恵は出なかった。



まぁ、当たり前だよな……。


俺は、もちろん動揺していたが。


自分でも不思議なくらい、冷静だった。



麻里恵が置いて行ったダイヤの指輪を、本来のケースに戻しながら。


俺は、的中してしまった悪い予感を。


やはり自分のせいだと、考え始めていた。



麻里恵の夢を邪魔することは。


もちろん、俺の本意ではない。



だからこそ。


俺は、麻里恵をハリウッドに送り出して。


一年半もの間、麻里恵の帰りを待ち続けていたのだから。



麻里恵が、俺との結婚を不安に感じていたならば。


無理に話を進める必要はないのだ。



俺は、ただ。


麻里恵を愛していて。


そして、ずっと麻里恵と一緒にいるという。


そんな、安心できる約束が欲しかっただけなのだ。



だから。


もう一度、麻里恵と向き合って。


ちゃんと、俺の気持ちを伝えることさえできれば。


きっと麻里恵は、ずっと俺のそばに居てくれる……。



麻里恵が、指輪をフィルムケースに入れて置いて行った意味を。


マヌケな、俺は。


そのときは、まだ。


気付いていなかったのだ。