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……ごめんなさい、ひろ。


今回広島に行かなかったことは、本当に申し訳ないと思っています。



でも、ね。


今回だってそうだったように、ひろと一緒にいると。


わたしはきっと、ずっとひろに迷惑をかけてしまうと思う。



わたしは、やっぱりひろとは結婚出来ません。


わたしには夢があって、それを叶えるためには。


やっぱり、ひろと一緒にいるのは無理だと気付いたから。



本当に、ごめんなさい。


今まで、本当にありがとう。



さようなら……。




そんな手紙を見てしまった俺は。


まるで、悪い夢でも見たかのように。


意識がぼんやりと、輪郭を無くしたような気がした。



手紙の文面を、ただ何度も目で追うだけで。


しばらくの間、それ以外のものは目に入らなかった。



ふと、気が付くと。


チャークンが、心配そうに俺を見上げてニャーと鳴いていた。



俺は床に座り込んで、チャークンの頭を撫でながら。


「……ありがとう。俺は大丈夫だから」と、呟く。



チャークンは、ゴロゴロと喉を鳴らしながら。


目を細めて、喜んでいた。



俺は、麻里恵の携帯に電話をする。


「……お掛けになった電話は、電波の届かない場所におられるか電源が入っていないため掛かりません……」