21
薄いカーテンを通した、1月の陽の光が。
俺と麻里恵の部屋の中を、明るく見せていた。
麻里恵は、いなかった。
どこかに、出掛けているのかな?
俺は、イヤな予感をそう考えることで。
少しだけ、心の中に押し戻した。
「カラッ、カラッカラッカラッ……」
ん?
リビングのテーブルの下を見ると。
猫のチャークンが、何かにじゃれて遊んでいた。
「……ただいま、チャークン。何やってるの?」
チャークンがじゃれているものは。
白い、半透明の筒だった。
フィルム、ケース?
俺は、そのフィルムケースをチャークンから取り上げる。
チャークンが、嫌そうにニャーと小さく鳴いた。
フィルムケースのなかには。
指輪が入っていた。
俺が麻里恵に贈った、ダイヤの指輪。
その指輪は、もちろん。
俺の麻里恵への、愛の証だ。
俺は、反射的にテーブルの上を見る。
フィルムケースは、きっと。
テーブルの上にあったはずだから。
テーブルの上には。
指輪のケースと。
小さく折り畳んだ、レポート用紙が置いてあった。
その紙は、間違いなく。
麻里恵の置き手紙だ。
俺は、震える手で。
その手紙を手に取った。