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そうすれば、きっと。


麻里恵とは、今まで通りでいられる。



今回のことだって。


俺は、別に怒っているわけではないのだから。



麻里恵には、麻里恵の考えがある。


だから、俺たちは。


ちゃんと話し合わなければならないのだ。


お互いの気持ちを、ちゃんと理解すること。


それが、一番大切なのだから……。



次の朝、9時前には。


俺は、広島駅の新幹線ホームにいた。


定番だが、もみじ饅頭を麻里恵へのお土産に買った。



早く麻里恵に逢いたい。


俺は、気ばかりが焦っていた。



焦っても、仕方がない。


そんなことは、分かっていても。


やはり、俺は落ち着かなかった。



麻里恵は、今日は仕事を入れていないはずだ。


だから。


早く家に帰って、麻里恵を抱き締めたい。


俺は、新幹線の中で。


そんなことばかりを考えていた。



午後2時過ぎに。


俺は、都営地下鉄の曙橋駅に着いた。


ここが、俺と麻里恵が暮らす家の最寄り駅だ。



抜弁天へ向かう坂道を、駆け上がりながら。


俺は、麻里恵の笑顔を思い出していた。



鍵を開けて、家の中に入りながら。


「マーチャン、ただいま!」


そんな風に、俺は声を掛けた。