18
とりあえず、俺は。
参道沿いに、厳島神社へと向かう。
たくさん並ぶ、土産物屋を独りブラブラ見ながら。
厳島神社までの道のりは、あっという間に感じられた。
子供の頃。
あれほど遠く感じたこの道が、こんなにも近く感じられる。
独りでこの場所に来たのは、もちろん初めてのことだ。
参拝料を払って、朱に彩られた神社の回廊を歩く。
回廊の床は、隙間のある板張りだ。
もちろん、そこは木の地肌の色で。
その隙間から見える海の色は、青く冷たい。
本殿にお参りして、海の方へと出る。
遠浅の海の上に、大鳥居が見えた。
海から来る風が、俺の心を冷たく刺す。
ノースフェイスのダウンジャケットを着ていても、やはり寒かった。
寒さは、きっと気温の低さだけではない。
麻里恵のことを。
考えないようにすればするほど、俺の不安は増すのだ。
厳島神社の回廊を、ひと回りした俺は。
また、ゆっくりとフェリー乗り場へ向かって歩き出した。
当たり前だが、独りで来ても楽しい訳がない。
それでも、俺は。
この場所に来てしまった。
本来やるべきだったことを、独りでもやる。
そうすることで、きっと。
俺は、少しずつでも。
不安な気持ちを、和らげられる気がしたから。