13
実家に着いた俺は。
居間の、畳の上に寝転びながら考える。
いや、でも。
こうやって考えても、仕方ないのだが。
俺は、親や妹たちを心配させたくはなかった。
だから俺は、努めて明るく振る舞った。
「麻里恵ちゃん、仕事忙しいんだね……」
お袋が、ポツリと呟いた。
「うん。大変な仕事だから、ね……」
俺は、そんなことを言いながら。
にっこりと笑う。
麻里恵からの電話は、まだ無い。
今は、ただ俺は。
麻里恵からの電話を、待つしかなかったのだ。
明日、行くね!という電話を……。
夕食の時間になる前に。
俺は、実家を後にした。
麻里恵が来ない、こんな状況では。
親や妹たちと、一緒に食事をするのは。
やはり、気が重かったのだ。
俺は、今度はバスに乗って。
広島バスセンターまでやって来た。
それから、俺は。
「むすびのむさし」という店で、肉うどんと山賊むすびを食べた。
こんなに旨いものが東京で食べられないなんて、悲しいよな……。
俺は、そんなことをボーっと考えながら。
うどんを、すする。
ホテルへの道すがら。
原爆ドームが見える橋の上から。
俺は、麻里恵に電話をかけた。