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広島に行く日が、近づくにつれて。


俺は、麻里恵の様子の変化が。


少しだけ、気になり始めていた。



それは、ほんの微妙な表情だったり。


ちょっとした仕草だったり。


もしかしたら見逃してしまうほどの、些細なことだったが。


いつも麻里恵を見ている俺が、気づかないはずがない。



俺は、少し不安だった。


もしかしたら、麻里恵は。


広島に行くのが、イヤなのではないだろうか?



しかし、俺は。


そんな考えを、必死で否定した。



そんなことが、あるはずがないって。



俺は、麻里恵が最後の女になるって信じていた。


いろいろな女に裏切られ。


いろいろな女を裏切った俺だが。


麻里恵のことは、本当に信頼していた。



麻里恵は、俺を絶対に裏切らない。


そんな風に、俺は。


盲目的に、麻里恵を信頼することが出来たのだ。



だから、俺は。


当たり前だが、すべての女との関係を絶って。


初めて、麻里恵とふたりで生活することを決めた。


ふたりで、ひとつの部屋を借りて。



麻里恵が遠くに居たときだって。


それも当たり前だが、俺は。


独りで麻里恵が帰って来るのを待った。


一切、他の女とは逢わずに。