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俺は、会社の引っ越しの準備で。
年明けからは、本格的に忙しい毎日を送っていた。
数十というカメラや周辺機材を含めた、部屋のレイアウトや。
撮影伝票の電子化やネットワーク化。
ネットワーク用の回線の手配などなど。
俺が中心となってやらなければならないことは多かった。
テレビ取材の仕事は、あまりにも複雑で分かりにくい業務のため。
というか、経験でしか判断できないことがほとんどのために。
たとえば、部屋のレイアウトをしたり。
オリジナルのデータベースソフトを開発したりなど。
そんなすべてを、自分たちでするしかなかったのだ。
つまり。
俺には、やらなけばならないことが死ぬほどあったということだ。
そんな、キツい毎日の中で。
俺は、麻里恵を広島に連れて行く日を本当に楽しみにしていた。
俺はきっと、そのとき舞い上がっていたに違いない。
両親や妹たちと食事するホテルのレストランも。
親父が予約してくれた。
麻里恵を、宮島に連れて行って。
鹿に追いかけられてみたり。
平和公園に連れて行って。
鳩に追いかけられてみたり。
そんな楽しいことばかり、俺は考えていた。
麻里恵の撮影も、順調に進んでいるようだった。