麻里恵と再び始まった生活は。


今まで、俺が経験したこともないほど。


楽しくて、幸せな日々だった。



麻里恵は、帰国してからは。


フリーのメイクアップアーティストとして、活動を始めた。



以前のツテを頼って、少しずつ始めた仕事は。


あっという間に、大忙しとなっていた。



テレビ、雑誌をはじめ、CMや映画まで話が来る。


そして、有名な俳優数人からも、指名で仕事が来ていた。



そうなると、麻里恵は。


仕事に追われて、俺と一緒にいる時間も少なくなりがちだった。



だけど。


そんな生活だからこそ。


俺と麻里恵は、時間を惜しんで。


一緒にいられる時間を、大切にしていた。



麻里恵よりキレイな女は、いくらでもいる。


だけど。


麻里恵以上に、一緒にいて楽しい女はいないって。


俺は、何の疑いもなく信じられるほど。


麻里恵のことを、深く愛していた。



いや、それだけではなく。


麻里恵を、深く信頼していたのだ。



ある冬の日。


俺たちの家の、猫の額ほどの庭に。


小さな猫が迷い込んで来た。


茶トラのオスで、珍しくしっぽも真っすぐで長い。



「飼っちゃおうか?」


どちらともなく、そんなことを言い出した俺たちは。


その猫に「チャークン」と名付けた。