『恋愛小節1990~Girl's Side』 和泉 ヒロト


人物設定


① 大下 沙樹子(おおした さきこ)

21歳。職業 看護婦。血液型B型。
町田市に、両親、妹と同居。
半年前に彼氏と別れる。
渋谷で行われた合コンで、主人公と出逢う。
マジメな女の子。ファッションもごく普通。


② 加藤 栞(かとう しおり)

18歳。短大の一年生。血液型A型。
神奈川県に両親と暮らしている。
片思いの先輩が友達と付き合い始めて、複雑。
まだ、恋に恋している感じ。
しかし、本当はいろいろ考えて行動している。
お嬢様お嬢様してはいないが、育ちが良さそうといった感じ。
旅行先の大阪で、ロケ中の主人公と出逢う。


③ 吉井 陽子(よしい ようこ)

20歳。池袋にある大学2年生。血液型O型。
秋田県出身。池袋で独り暮らし。
クラブでも踊る、ブラックミュージック好き。
ファッションは基本シスター系だが、ケースバイケースで使い分ける。
ディズニーも大好きな女の子。実は、かなりマジメなタイプ。
引きずっている過去があるらしいが……。
池袋のレゲエがかかるクラブで、主人公と出逢う。


俺(ヒロ)

25歳のTVカメラマン。血液型A型。
広島県出身。練馬区で独り暮らし。
愛車は黒いポルシェ944。



『恋愛小節1990~Girl's Side』


第1章  沙樹子の場合


その1



あたしは……。


あなたの、声が好きだった。



高くもなく、低くもない。


落ち着いていて、ゆっくりとやさしくしゃべるあなたの声が好き。



そんな声で、話しかけられたとき。


あたしの胸は、トクンって高鳴ったの……。



あなたに初めて出逢ったのは、渋谷であった合コンの席でだった。


職場の友達に誘われて、気乗りしなかったけど、出かけた夜。


3対3の合コン。



そこでのあなたは、わりと無口で、ニコニコ笑っている姿が印象的だった。


でも……。


そのときは別に、あなたのことを何とも思わなかった。



2次会でボーリングに行く、ってみんなは言ったけど、あたしはなんだか気分が乗らなかったから、帰ることにした。



そしたら。


偶然、あなたと一緒に駅まで歩くことになった。



「あのね、あたしあんまり合コンって好きじゃないんですよ。っていうか、苦手で」



あたしがそう言うと、あなたも「そうそう、俺も」と言って笑った。


その笑顔に、あたしの胸はトクンって、ときめいた。



センター街からハチ公口へ向けて、スクランブル交差点を渡るとき。


あなたは、あたしにこう言ったよね。



「ごめん。 電話番号教えてもらってもいいかな?」って。



あたしは、簡単に電話番号を教えたりはしない。


だけど。


あなたには、なぜか教えてもいいかな、って思えたの。



「一回だけ言うから、覚えてね」


あたしは、ちょっと意地悪をして、早口で電話番号を口にした。


そしたら。


あなたは手帳を出して、私の番号を一生懸命メモしたよね。



そんなあなたが、とてもかわいく思えたの。



次の日。


さっそく、あなたから電話がかかってきた。



うん。


あたし、すごくうれしかった。



電話でのあなたは、一生懸命いろいろな話をしてくれたよね。


楽しくて、あっという間に時間が過ぎていった。


そして。


あたしは、またあなたに逢いたくなってしまったの。



次の日曜日。


あたしたちは、横浜でデートすることになった。



デートするのも、久しぶりだな……。


あたしは、半年前に別れた彼のことを少しだけ思い出した。



あたしは彼のことが、大好きだった。


でも……。


キスより先のことは、なんとなくイヤだった。



男の人って、そうなの?


あたしを、抱きたいだけなの?



結局、だんだんと気まずくなって、彼は私から離れていった。



大人にならなきゃな、あたし。



彼が離れてしまったのは、きっと自分のせいだって分かってた。



だから。



今度は、勇気を出せるかな、あたし。



次の日曜日。


渋谷パルコ前の交差点に、あたしは珍しく15分も前に着いた。


いつもは、早くても時間ギリギリなのに。



夜勤明けで、ほとんど寝てなかった。


でも。


どうしたんだろう?


あたし、少し緊張してるかも。


眠気も、ほとんど感じないほどに。



車で来る、って言ってたな……。


どんな車なんだろう?



時間ぴったりに、あなたはやって来た。


真っ黒いポルシェで。



赤信号で止まった車の中から、あなたはあたしの名前を、大きな声で呼んでくれた。


あの、人ごみの中で。


あなたが、あたしをちゃんと見つけてくれたこと。



あたしは、そのことがすごく嬉しかった。