44  『今夜、君に伝えたかったこと』


今日の仕事のスケジュールから言えば。


今夜のパーティーには、絶対に間に合わないはずだった。



でも。


やはり、というか。


仕事は、予定より一時間早く終わって。


そうなれば、もちろん。


ぼくは、そのパーティーに向かうのさ。



だって、そこには。


きっと、君がいるはずだから。



今年も、もうすぐ終わるけど。


ぼくは君に、まだちゃんと伝えていないんだよね。



そう。


今年、君に出逢えた嬉しさと。


今年、君がぼくにくれた優しさのお礼を。



きっと、君はあの店にいて。


ぼくに、ぼくが大好きな笑顔を見せてくれると思うんだ。



ぼくは、そんなことを考えながら。


地下鉄の長いエスカレーターを登っていく。



地上に出たぼくを。


昼間とは打って変わって、冷たい風が包んだけど。


ぼくの心は、暖かかったから平気だった。



ありがとう。


全部、君のおかげだよ。



『今夜、君に伝えたかったこと』