35 『くだらないけど、大切なこと』
電車に乗ってるときにさ。
いつも思うことがあるんだよね。
運良く席に座れたとしてさ。
まぁ、そういう時って電車の中が空いてるわけで。
向かいに座ってるひとが、正面に見えるじゃない?
でさ、電車がホームに入って来るとさ。
ついつい、駅名を目で追っちゃうでしょ?
だいたいみんな、そうするみたいで。
そのときの目の動きが、昔から好きなんだよな俺って。
スッゴい細かい動きするじゃない。
駅名を読もうとして、動くでしょ眼球が。
左から右。
左右左右、左左右!みたいな。
すげー、動くよね。
目ん玉の筋肉って、無駄にすごいな!みたいな……。
そんなくだらない話を。
君は、ニコニコしながら聞いてくれる。
やっぱり、君って良いよな……。
ぼくは、そんな風に。
ひとり納得していた。
こんなくだらない話だけど。
誰かに話したのは、実は初めてで。
それをちゃんと聞いてくれたのが、君だったから。
ぼくは、ホントに嬉しかったんだ。
うん。
いや、マジで。
本当に……。
『くだらないけど、大切なこと』
了