32 『君と見る夢』
ふと、思うことがあるんだ。
この世界に存在するものは、全て。
ぼくの頭の中だけにあるものなのかもしれない、って。
形あるものの全てが、ぼくの妄想で形作られていて。
現実には存在しないのかもしれない、って。
もし、そうじゃないとしても。
やっぱり、確かに。
ひとりひとり、別々の世界が存在すると思うんだよね。
だって、さ。
感じ方や、見え方なんて。
自分と他人とでは、明らかに違うんだから。
でも、きっと。
お互いに影響を与えあって。
この世界は、成立していると思うんだけどね。
ぼくは、君を愛してる。
そして。
君もたぶん、ぼくを愛してくれる。
でも。
何か、ひとつのことをとってみたって。
君とぼくの感じ方は、明らかに違っているんだ。
だから。
ぼくと君は。
同じ夢や同じ世界は、絶対に見れないんだよ。
だけど、ぼくは。
それでも君と一緒に、夢を見たいと思っているんだ。
それが、きっと。
良く似た夢でしかないとしても。
ぼくの、そんな思いを。
君は、夢にも思わないだろうけどね。
ぼくは、楽しそうに話す君をじっと見つめる。
それでも、やっぱり。
もし、君という存在が消えてしまったら。
ぼく自体の存在だって。
きっと消えてしまいそうだなって。
そんなことを、思いながら。
『君と見る夢』
了