7  『君を思い出す瞬間』


今日、仕事の打合せで行ったオフィスは。


偶然に、君の住むマンションのすぐそばだった。



君が住む部屋の辺りを、じっと見つめながら。


ぼくは、君の部屋を訪れたときのことを思い出していた。



引っ越しが終わったばかりの君の部屋で。


ぼくは、届いたばかりの組立式の家具を組み立てたっけ。



あれから、もう半年以上の月日が経っていた。



そして、あの夏の日。


ぼくは、君からのメールに。


わざと冷たい返事を返した。



好きだからこそ。


これ以上、君に逢うのが辛くなってしまったぼくは。


君から、離れることに決めたんだ。



あれから、君からのメールは二度と届かない。



ぼくは、いつもじゃないけど。


まだまだ、君のことを思い出してしまうんだ。


いいかげん、忘れたいのに……。



ぼくは、そんな気持ちを振り払うように。


頭を左右に振りながら、駅への道を急いだ。



もしも、ここで君に逢ったらどうしよう!


なんて。


くだらない心配をしながら。



『君を思い出す瞬間』