1  『手が届かない空を見ながら』


どうして、あんなに空って高いんだろう?


ぼくは、山手線の列車の窓から空を見上げながら。


あの空に、手を伸ばしたい!


そんな衝動を、ぐっと抑えていた。



昨日、君から最後のメールが届いた。


いや、ホントは。


最後かどうかは、分からないけれど。



でも。


たぶん、ぼくからアクションを起こさない限り。


君からは、二度とメールは来ないと思う。



君は、いつもズルい。


だって。


君からは、決して。


ぼくに、別れの言葉を告げないのだから。



でも。


今回は、今までとは決定的に違うのかもしれないね。



君と、ぼくは。


今までに、何度となく別れを繰り返してきた。



そして、また。


何度となく、歩み寄った。



でも、もうホントに止めようと思うんだ。



ぼくは。


君の幸せだけを、ずっと望んでいた。



でも、もう。


ぼくには、これ以上無理みたいなんだ。



真っ青な空に。


いくら手を伸ばしてみても。


この手には、何も掴めないように。



だから、ぼくは。


君の前から姿を消すことにするよ。



ぼくは、ずっと。


君の幸せを願ってる。



さようなら。


ありがとう……。




なんて。


真っ暗な小説を、ケータイで書きながら。


ぼくは、君の待つ部屋を目指す。



今の幸せが、どこにも行かなけば良いな。


ううん。


どこにも行かせない、さ。



なんて。


そんなことを、思いながら。



空には、やっぱり手が届かないけれど。


ぼくは、手に触れることが出来る幸せを。


そうだよ。


君のことを。


ずっと、守りたいんだ。



ぼくの命ある限り。


ずっと、ね。



『手が届かない空を見ながら』