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「恭子、寝てるの……?」


俺は、恭子の顔を覗き込む。




恭子は、涙で顔を濡らしたまま眠っていた。



恭子……。


そのとき俺は、自分の罪を再認識した。


悪いのは、すべて俺なのだ。



そして、俺は決断していた。


何があっても、恭子と一緒に生きて行こうって。



俺は、正直に言えば。


恭子を愛する自信は、まだなかった。


だけど。


恭子と一緒にいることで。


少しだけでも、楽でいられるような。


そんな気がしたのかもしれない。



そして俺は、もしかしたら。


本当にもう、誰も愛せないのかもしれない。



でも。


まずは、愛そうとすることから始めなければ。


きっと、何も変わらないのだ。



1987年のクリスマスは、恭子とふたりだけのクリスマスだった。



そして、恭子との落ち着いた幸せな日々が続く。


俺と恭子は、笑い合いながら楽しく毎日を過ごす。



たとえ、恭子が。


俺以外の男と寝たとしても。


恭子は、必ず俺のところに戻って来る。


そう信じられることだけで。


俺には、幸せだったから。



たとえ、苦しくても。


俺は決して、自ら死は選ばない。



ひとときの幸せだけが、俺を救ってくれるって。


そのときの俺は、確かに。


そう、信じられることが出来たのだから。



『恋愛小節1987』



Copyright by Hiroto Izumi 2006




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明日からは、恋愛小説短編集『秋と冬の境目~恋愛小節2006』を日々連載します!


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