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奈々美は、俺を避けているのだろうか?
そんな不安が、俺を支配し始めていた。
もう、どのくらい奈々美と話をしていないのだろう?
俺は、奈々美に逢いたかった。
逢って、俺の気持ちをちゃんと伝えたい。
そんな風に、考えれば考えるほど。
奈々美への気持ちと、不安が募った。
家に戻った俺は、点滅する留守電のランプに気づいた。
もしかしたら、奈々美かもしれない。
俺は期待しながら、再生ボタンを押す。
……新しい録音は、2件です……。
「……もしもし、あたし。元気?寂しがってない?えっと……8月の終わりには東京に帰るから。また電話するね!」
恭子、か……。
久しぶりに、恭子の声を聞いた俺は。
気がつくと、無意識に微笑んでいた。
あれっ?
俺は、そんな自分の感情に驚く。
でも。
恭子は、やはり。
俺にとって、大切な存在なのかもな……。
なんて。
俺は、いまさら。
そんなことを、感じていた。
「……久しぶり。ごめんね、連絡できなくって……」
奈々美だ!
俺は、無意識に留守電に近寄って。
久しぶりに聞く、奈々美の言葉を聞き逃さないようにした。
「ごめんね、ひろ。わたし……」