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早綾は、新潟の出身で。
短大から東京で、独り暮らしをしていると言った。
ビールを飲みながら、早綾は。
少しずつ、そんな風に自分のことを話してくれた。
俺は、早綾の話を聞きながら考えていた。
奈々美は、どうしているのだろうか、と。
早綾を見ていると、奈々美を思い出してしまう。
白くてキレイな肌、という以外には。
全然、タイプは違うふたりだけど。
何気ないところで感じる、寂しさが。
きっと、似ているのだ。
終電の時間近くになって。
呑み会は、お開きとなった。
「家って、どこなの?」と、早綾に俺は訊く。
「えっと、池袋……」と、早綾は答えた。
俺と早綾は、一緒に山手線で有楽町に向かう。
池袋なら、有楽町線で俺と途中まで一緒だ。
深夜の有楽町線は、混んでいた。
「大丈夫?すごいね……」
俺は、早綾にそう言いながら。
早綾が潰されないように、スペースを確保した。
「じゃあ、また明日!おやすみ!」
池袋で、電車を下りる早綾に。
そんな風に、声を掛けて。
発車した、電車のなかで。
俺は、ゆっくりと目を閉じる。
奈々美に逢いたい。
そのとき、俺は。
そう強く感じていた。