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楽しそうに笑う、奈々美が。


俺の目には、悲しく映った。



奈々美も、きっと寂しいんだろうな……。



俺は、ただ。


奈々美を見つめるだけで、良かったのだ。



奈々美の寂しさは、きっと俺と良く似ている。


だから。


俺は、奈々美と同じ時間を共有することだけで。


少しだけ、安心出来たのかもしれない。



奈々美は、ミートソースのスパゲティとイタリアンサラダを用意してくれていた。


ミートソースは、手作りで。


もちろん、とても旨かった。



赤ワインのグラスを傾けながら、奈々美が呟く。


「ありがとう、ね。あたし、ひろがいてくれて助かってるんだよ……」



奈々美……。


それは、俺にとっても同じだよ。



俺は、心の中でそんな言葉を呟きながら。


スプライトを飲んだ。



少し酔った奈々美が。


俺の顔を、じっと見つめていた。


「うんっ?何、奈々美さん?そんなに俺ってイイ男?」


そんな冗談を言う俺に、奈々美は言う。


「うんっ!ひろって、とってもかわいいよ……」


「あはは、そっかーかわいいかぁ!」



そんな風に、おどける俺を。


奈々美は、真顔で見つめていた。



俺は、一瞬どぎまぎしながら。


それでも、奈々美の瞳をしっかりと見つめ返した。