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奈々美は、東京でまた。


独り暮らしを再開していた。



奈々美は、駒場東大前の。


マンションの小さな部屋を借りた。



奈々美が、彼氏とどうなったのか?


俺は、訊いていない。



そんなことは、どうでも良いことだ。



奈々美からは。


たまに、留守電にメッセージが入った。


ほとんど、恭子の部屋にいて。


自分の部屋には、めったに帰らない俺は。


定期的に、リモコンで留守電のメッセージを聞いていたのだ。



俺と奈々美は。


たまに、渋谷で食事をしたりしていた。



あの夜から、始まった。


俺と奈々美の、微妙な関係は。


相変わらず、そのままで続いていた。



そんな、ある日。


「ねぇ、ウチに遊びに来ない?一緒にご飯食べよ!」


そんなメッセージを、奈々美が留守電に残した。



部屋に誘うなんて、どうしたのかな……?


そう思いながらも、俺は。



そんな。


ちょっと寂しそうな、奈々美の声を聞くと。


奈々美に、逢いたくなってしまっていた。



その日、俺は。


夜の8時に、奈々美の部屋を訪れた。



「今晩は!いらっしゃい!」


玄関で、柔らかく微笑む奈々美が。


俺には、眩しかった。