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奈々美は微笑みながら、こう言った。
「もう……悪い子なんだか……!」
俺は、さっき奈々美がしたのと同じように。
奈々美の唇に、ゆっくりと俺の人差し指を押し当てた。
「……奈々美も悪い子、だろ?」
奈々美は、ゆっくりと頭を左右に振る。
俺は、それを無視するように。
奈々美の唇に、触れるようなキスをした。
一瞬、俺を押し戻そうとした奈々美を。
さらに、強く抱きしめながら。
俺は、奈々美の耳元でささやく。
「俺が全部、忘れさせてやるよ……」
その言葉を、きっかけに。
奈々美の体から、力が抜けて行く。
奈々美が、潤んだ瞳で。
俺の目を、じっと見つめていた。
俺は、優しく奈々美を見つめ返す。
そして。
今度は、奈々美から。
ゆっくりと、熱いキスを俺にくれた。
俺たちは、何度も何度も。
熱いキスを交わした。
しかし。
俺は、それから先に進む勇気がなかった。
俺は。
覚悟を決めて、奈々美のカラダに優しく触れる。
「いやっ……お願い。ひろ、止めて……」
奈々美のそんな、弱い拒否が。
逆に、俺にストップをかけていた。
強引に行けば、確実に奈々美は落ちる。
でも、俺は……。