61
バスルームを出た俺は。
ジーンズとTシャツ姿だった。
さすがに、バスタオル一枚で出る訳にはいかないし、な……。
奈々美は。
スエットとTシャツという、リラックスした格好に着替えていた。
そんな、ラフな格好でも。
奈々美はキレイだった。
俺と奈々美は、ベッドに腰掛けて缶コーヒーを飲みながら。
笑いあって、くだらない話をした。
奈々美の、そんな明るさが。
逆に、奈々美の寂しさを浮き上がらせる。
「もう2時、か……。寝よっか、ひろ……」と、奈々美は微笑む。
狭い、ベッドの上に。
俺と奈々美は、並んで横になった。
「電気、消すね……」
フットライトの薄い灯りが。
うつ伏せになった奈々美の薄い肢体を、かすかに浮かび上がらせた。
「奈々美さん、俺さ。今夜、俺……。奈々美さんと……!」
そう言いかけた、俺の唇を。
奈々美が、人差し指で止めた。
「何も言わなくていいよ。……ありがとう、ひろ」
そう言って奈々美は、俺をギュッと抱きしめる。
俺は、奈々美の髪を優しく撫でながら。
このあと、どうすべきかと考えていた。
このまま、奈々美を抱いてしまおうか?
いや、でも……。
「何考えてるの?」と、奈々美がささやく。
俺は奈々美のキレイな瞳を見つめながら、こうささやいた。
「奈々美をもっと知りたいなってこと、さ……」