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奈々美の、突然の行動が。


俺には、とても嬉しかった。


奈々美の気持ちは、痛いほど分かる。



そのとき。


俺と奈々美は、同じ寂しさを共有していたのだ。



それを、はっきりと感じ取った俺は。


奈々美を落とす、とか。


そんなことは、もうどうでも良くなっていた。



奈々美の髪を、優しく撫でながら。


俺たちは、ゆったり流れる時間を過ごす。



「……あたし、シャワー浴びて来る、ね……」


そう言って、奈々美は。


狭いバスルームへと消えた。



奈々美が浴びる、シャワーの音を聞きながら。


俺は、美佐のことを考えていた。



今の、美佐は。


考えてみれば、奈々美と同じ状況なのだ。



でも。


美佐が、実家に居ることは大きな違いだとは思う。



しかし。


美佐だって、奈々美と同じように寂しくて。


誰かに甘えてしまうことだって、あるかもしれない……。



俺は。


自分がしていることや、して来たことを考える。



俺は、何を根拠に美佐を信じているのだろう?


それも、盲目的に……。



そのとき。


バスルームの扉が開いた。



「ひろくんも浴びたら、シャワー……」


俺はバスタオル一枚で微笑む、奈々美の姿に。


そのとき、心を奪われてしまっていた。