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奈々美は、大阪の新聞社に勤務していた。


主に、女性をターゲットとした新聞を作っている会社らしい。



奈々美と俺は、体育館で一緒に仕事をした。


けっこう、空き時間が多かったこともあって。


俺と奈々美は、いろいろな話をした。



大学院を出ていた奈々美は。


同期とはいえ、2歳年上だった。



ストレートなショートヘアに、とにかくスレンダーな体。


切れ長の目だが、すごく優しい視線をくれる。


奈々美は、俺が知らないタイプの女だった。



「ねぇ、奈々美さんって標準語だよね?なんで?」


そんな俺の質問に奈々美は、こう答えた。


「だって、東京にも長いこといたし、ね」と。



奈々美は大阪の生まれだが、大学からは東京にいたらしい。


慶応院卒、か。


俺は、それを聞いて専攻まで聞く気が失せていた。



今回の研修でも、仲良くなったやつは。


東大や早稲田を出ていた。


それを聞くと俺は。


正直、気後れした。



早稲田の文学部に行くことも考えた俺だが。


やはり、映画の勉強がしたくて日大芸術の映画学科を選んだ。


映画に関しては最高学府を出た俺だ、という自負もあったが。


正直、学歴にコンプレックスがない、といえば嘘になる。