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俺は、苦労しながら恭子を立ち上がらせて。


ゆっくりと非常階段を下りる。



俺は恭子を、恭子の部屋まで時間をかけて連れて帰った。



ベッドに倒れ込むようにして、眠ってしまった恭子の顔を。


俺は、複雑な気持ちでじっと見つめた。



俺は、一体どうすればいいのだろう?



美佐と別れてしまえば、恭子は落ち着くのだろうか?


いや、それはそんな簡単なことではないのかもしれない。



一瞬、恭子は落ち着いたとしても。



きっと、何か別のことを理由にして。


きっとまた、酒を呑んで我をなくすに違いないのだ。



恭子の存在は、間違いなく。


今の俺にとっての重荷だった。



しかし。


俺は、恭子と一緒にいることを選び続けている。



俺は、恭子を愛してはいない。


そんな風に思うことで。


俺は、美佐への罪悪感を薄めようとした。



しかし。


本当は、俺は。


間違いなく、恭子を深く愛していたのだ。



一度眠った恭子は、当分起きない。


俺は、そっと恭子の部屋を抜け出して。


急いで、俺の部屋に向かった。



「……大丈夫だった、の?」


真希が不安そうに、そう言った。



俺は、ゆっくりと頷きながら真希にこう言った。


「……ごめん。迷惑掛けちゃったな。誤解は、解いておくから……」