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えっ?
俺は、真希の予想外の行動に動揺していた。
それでも。
やっぱりここは、寝たフリをしたほうが良さそうだ。
「……ホントに寝てるのかな、ひろ?」
そう言って、真希は。
今度は、俺の唇にそっとキスをした。
俺は、それでも寝たフリを続けた。
いま、俺が目を開けてしまったら。
俺と真希の関係が壊れてしまう。
そんな気がしたからだ。
そのうち。
スースーと寝息を立てながら。
真希は、また眠っていた。
俺は目を開けて、もう一度じっと真希の寝顔を見ながら。
確かに、感じていたのだ。
そう。
真希という存在の、大きさと大切さを。
その日の夜。
真希は、自分の家に帰った。
もちろん、俺たちには。
その日、それ以上のことは無かった。
俺は、思った。
アメリカでの生活が長い真希だから。
あのキスだって、大した意味なんて無いのだ、きっと。
そんな風に考えると、気が楽になる。
そして、その日からまた。
ほとんど毎日、俺は真希と顔を合わせていた。
でも。
やはり、真希は特に以前の真希と変わらない。
だから、俺も。
以前と変わらない態度で、真希に接していた。