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「あぁ、恭子は帰省中だよ。9月まで帰って来ない……」



真希は少し考えたあと、こう言った。


「じゃあ、シャワーだけ借りていいかな?やっぱり、マズい、よね……」



俺も少しの間、考えた。


別にやましいことはないし。


家賃は出してないけど、半分は俺の家みたいなものだから。


まぁ、いいか。



「分かった。そのかわり、誰にも内緒だからな」と、俺はそう言った。



そのとき真希は、うんっと頷いて。


ニッコリと微笑んだ。



真希を連れて、恭子の部屋へと歩く。


駐車場から真希の部屋へも、そう遠くはない。


だいたい、歩いて5分くらいの距離だ。



夏も、そろそろ終わる。


とはいえ、8月の下旬は、まだまだ暑い盛りだ。



寂しそうに聞こえるセミの声を聞きながら。


俺と真希は、汗だくになって歩いた。



恭子の部屋の中は、外以上に暑かった。


俺は窓を全開にしながら、同時にクーラーを入れた。



「先にシャワー浴びて来いよ、真希」


俺は、何気なくそう言った。



しかし、その瞬間に。


俺は、この場面のヤバさを急に意識した。



スリガラス状になっている、ユニットバスの扉には。


服を脱ぐ真希の姿が、ぼんやり透けて見えた。



見ては、いけない!


そう思えば思うほど、俺は。


扉のほうが、気になって仕方なかったのだ。