33
真希は。
ほんの一瞬の間に、すっかり眠っていた。
まったく、しょうがないな……。
俺は、苦笑いしながら真希の寝顔を見る。
撮影は、とてもハードだったし。
特に真希は、ここ数日ほとんど寝ていない。
俺は、そのまま江古田までベンちゃんを走らせた。
俺は、部屋から徒歩2分のところに駐車場を借りていた。
屋根なしで、砂利が敷いてある空き地みたいな駐車場だ。
駐車場代月1万円は痛いが、まぁ仕方ない。
その駐車場に、ベンちゃんを入れた俺は。
眠っている真希に、優しく声をかける。
「……着いたよ、真希。部屋で寝かせてやるから、ちょっと起きなよ……」
「……うん?ここどこ?江古田?……ごめんね、寝ちゃって!」
真希は、眠そうに両手で目をこすりながら。
そして。
ちょっと困ったように、俺の目をじっと見た。
「ねぇ……。シャワー浴びたいな……」
真希は、そう言ってニッコリと微笑んだ。
困ったな。
俺の部屋は、相変わらず風呂なしトイレ共同の。
家賃2万4千円のボロアパートだ。
当然、シャワーなどない。
真希だって、そんなことは百も承知のはずだ。
「ねぇ。恭子ちゃんはいないの?」と、真希は言った。