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阿川の死を。


俺たちは、すぐには受け入れられなかった。



いや。


受け入れたく、なかった。


だから。


阿川が死んだという事実は、理解していても。


やはり、悪い冗談のような気がしていた。



映画棟の教室から、ひょっこりと阿川が現れそうな。


そんな気が、ずっとしていたのだ。



しかし。


これは、間違いなく現実だった。



死は、突然にやって来る。



しかし、今回は。


阿川が、自ら選んだ死だ。



俺たちは、仲間として。


どうして阿川を救えなかったのか、と悩んだ。



そして、どうして。


何も話してくれなかったのだろうか、と。


俺は、そんなことをずっと考えていた。



阿川の葬式には。


着なれない喪服を着た、友人たちがたくさん集まった。



その中に。


真っ赤なドレスを着た女がいた。



あとで、俺は。


それが、阿川の彼女だと知った。



阿川と仲の良かった真希は。


表面上は、冷静を装っていたが。


さすがに、かなりのショックを受けていた。



真希が一年生のときに撮った『女子大生の更衣室』は。


阿川が主役だった。



俺は、それから。


今まで以上に、真希のそばにいるようにした。



その頃から。


俺と真希の微妙な関係は。



少しずつ、動き始めていた。