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「どうしてたんだよ阿川!心配したんだぞ!」


そんな風に、声をかけた俺に。


阿川は、消え入るような声でこう言った。


「……別れの挨拶に来たんだ。ゴメン、な。パソコン教えてやれなくて」



そう言えば。


阿川の部屋で、パソコンを教えてもらうことになってたっけな……。



「……でも、なんでお前ヘルメットを……」



俺が、阿川にそう尋ねた瞬間。



電話のベルの音で、俺は目を覚ました。


反射的に、枕元の時計を見る。


午前4時25分、か。


こんな時間に、電話がかかってくるなんて……。


俺は、悪い予感がしていた。



「……はい、はい。ちょっとお待ちください」


そう言いながら、恭子が俺に受話器を渡す。



「……もしもし。こんな時間にゴメンね」


電話は、真希からだった。



「あのね……。阿川が、自殺した……」


俺は、思ったよりも冷静に真希の言葉を聞いていた。


「……とりあえず、学校が開いたら、みんな集まろうって」


真希は、今にも泣きそうな声で。


でも、しっかりと。


俺に、そう告げた。



電話を切った、俺は。


一瞬だけ、茫然としていた。



「知らせに来てくれたんだな、阿川。律儀なヤツだ、な……」


そう呟いた、俺は。


それから、長い時間。


嗚咽をあげながら、泣いた。