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「おーい!おめでとう!良かった、な……」


そう言って、仙ちゃんは。


ぎこちなく笑った。


そのとき、仙ちゃんの頬は少し。


引きつっていた。



「あっ、うん。あ、ありがとう……」


俺も、ぎこちなく笑った。


もちろん。


俺の頬も、引きつっていたに違いない。



「…………」


「…………」



「……じゃ、また!」



俺は、そそくさとその場を立ち去った。



そんな風に、仙ちゃんとの気まずい関係は。


卒業するまでの間、ずっと続いた。



こればっかりは、どうしようもない。


俺は、そう考えるようにした。


しかし。


やはり、ずっと気まずいままだったのだ。



部活の軽音楽部は。


3年生の秋で引退していた。



だから。


いま、優先的にやらなければならないことと言えば。


卒業制作の映画を、完成させることだった。



映画は16mmで、30分のドラマ作品だ。


あえて、モノクロで撮影した。


大学に現像場があるので、その部分の費用はかからないが。


フィルム代や、その他もろもろのことを考えると。


モノクロのほうが、楽だった。



映画の内容は、サスペンスタッチの青春ドラマで。


でも。


死人が二人も出る、泥臭い話だった。