18
俺と恭子の生活は、表面上は落ち着いて見えたに違いない。
風呂なしのアパートに住んでいた俺は。
風呂のある恭子のマンションに、入り浸った。
恭子のマンションは、石神井公園のそばにあった。
江古田からは、西武線で少し時間がかかる場所だ。
しかし。
そんなことは、まったく気にならなかった。
なぜなら。
俺は、恭子と一緒にいたかったからだ。
ある日、恭子が俺に言った。
「ねぇ……。わたし、江古田に引っ越そうと思うんだけど。どうかな?」
それは、俺にとっては願ってもないことだった。
恭子が俺のアパートから、徒歩3分のところに引越して来てから。
俺と恭子が一緒にいる時間は、さらに増えて行った。
それに連れて。
恭子の俺に対する愛情も、ますます大きくなって行ったのだと思う。
俺は、恭子のことが大切だった。
恭子は俺にとって、かけがえのない存在になっていた。
そんなことは、良く分かっていたのだ。
しかし。
美佐と別れてまで、恭子と一緒にいたいとは。
どうしても、思えない俺がいた。
それに。
俺には、美佐がいることを。
恭子は納得しているはずだ。
そのときの、俺は。
そんな風に。
自分の気持ちを、楽にしようと考えていた。